あまたの憧れと挫折の果てに古き文学者の名前を戴き舞台へと躍り出る少女達。スポットライトと、拍手だけが、彼女達のすべて。

2013年2月28日(木)発売

この物語を書きながら、人間の価値はどこにあるのだろう、と何度か考えました。

多分、そんなもの、どこでもいいし、なくたっていい、のでしょう。
ただ、ある種の仕事には、「貴方には価値がある」と言われ続けなければならない、
という宿命があります。
「貴方」でなければ、「貴方の書く物」でも、「貴方のつくるもの」でもいい。

そういう、宿命のこと、を考えながら書きました。

舞台は、少女だけのサーカス。
少女達の、宿命と歓喜。絶望と覚悟。恋と冒険。
そして、願いと祈り、のお話です。

願わくば、すべての、芸事に命を賭けた人、
そして、芸事に魅入られた人に。
報いがありますように。

紅玉いづき 2013/02/28

文庫化にあたって

生まれて初めて、ハードカバーにするために、書いた物語でした。
それでも、今回文庫という愛らしい形におさめられることを、嬉しく思います。
特別な加筆もなく、これといったおまけもありません。
でも、文庫版として原稿を読み直した時、素直に面白いな、と思いました。
小箱にこめられたような、少女達の夢。そして一瞬のきらめきです。
そのきらめきを愛する人に、届きますように。

わたしから、メリークリスマス。

紅玉いづき 2015/12/25